自動化・省エネ性能に注力、工作機械が高精度加工でしのぎ削る
工作機械メーカー各社が数マイクロメートル(マイクロは100万分の1)単位の精度が求められる高精度加工でしのぎを削っている。精度や品質に優れる加工と共に提案に注力するのが、人手不足に伴う自動化や省エネルギー性能だ。12日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開幕した金型や加工技術に関する展示会「インターモールド」で各社の動きを追った。
「世界で工場に人が集まらなくなっている」。三菱電機産業メカトロニクス事業部の清水利彦副事業部長はこう危惧する。
同社が提案するのはワイヤ放電加工機「MPシリーズ」にロボットと無人搬送車(AGV)を組み合わせた自動化システム。拡張性が高いシステムで既存の工場レイアウトをいかして導入できる。加工対象物(ワーク)の加工機への着脱や搬送を自動化し、24時間連続で高精度な加工を支える。形彫放電加工機「SV―Pシリーズ」では人工知能(AI)技術で、機器の制御を補正しながら高精度加工を実現。同社メカトロ事業推進部の河野央夫放電事業推進グループマネージャーは電子部品向け金型など微細加工分野で「高精度な加工と自動化需要に応えたい」とした。
アマダマシナリー(神奈川県伊勢原市)はデジタルプロファイル研削盤「DPG―150」を出展。独自の撮影技術を活用したデジタルプロジェクターにより、高精度な自動計測や補正加工を実現した。これまで精度計測などは人の目で判断していたため熟練技術が必要だったが、「経験の浅い作業者でも扱いやすくし、高精度な加工ができる」(同社担当者)と強調する。
牧野フライス製作所は機械安定化制御技術「イースタビライザー」を搭載した立型マシニングセンター(MC)「V56iPLUS」を訴求する。同技術は温度変化で生じるわずかな機械変形を予測し、自動制御により高精度な加工を維持する機能などで構成。厳密な工場空調機器がない環境でも高い加工精度を実現でき、消費電力を12%削減する効果が見込まれる。同社開発本部の重村大介マネージャーは、「脱炭素に向け環境に配慮した製品への関心は高く、高騰する電気代の削減にもつながる点を提案したい」と意気込む。
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