「国産半導体」売上高15兆円超へ、経産省が拡大後押し
経済産業省は、国内で半導体や関連装置、素材などを生産する企業の売上高を2030年に20年比約3倍となる計15兆円超に引き上げる。経済安全保障上、半導体の重要性が高まる中で、各国政府が投資支援を強化。日本政府も政策支援により規模拡大を後押し、安定供給体制を整えるとともに、世界の半導体サプライチェーン(供給網)で一定の存在感を確保したい考えだ。
3日に開いた「半導体・デジタル産業戦略検討会議」で示した。20年の売上高は約5兆円で、世界シェアは10%。30年時点のシェアは示さなかったが、世界市場は20年比約2倍になるとみている。21年に同会議で日本企業による半導体の売上高を30年に約13兆円とする目標を掲げていた。
台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県で建設中の先端ロジック半導体工場などを加味して、15兆円の目標を設定した。経産省は「世界のサプライチェーンで存在感を示すにはこれくらいの規模が必要」(幹部)とみている。
米国では5年で390億ドル(約5兆円)の設備投資を補助するなど各国政府が支援を強化している。日本政府も今後10年間で官民合わせて10兆円超の追加投資が必要だとみている。
同日の同会議では、経産省が支援するTSMCの新工場やキオクシア四日市工場(三重県四日市市)の案件で、経済波及効果9兆2000億円、税収効果が約7600億円になるとの試算を公表。西村康稔経産相は「助成額を大幅に上回ることになるだろう税収効果を上げる」と指摘した上で「中長期的な方針を明確に示すことで、国内外から投資や人材が集まり、同様の好循環が生まれることを期待したい」と述べた。同会議で、年央までに「半導体・デジタル産業戦略」を改定し政策に反映させる。
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日刊工業新聞 2022年4月3日