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三井住友・みずほ・三菱UFJ…メガバンクが環境対応であの手・この手

3メガバンクが環境対応方針や目標を相次ぎ強化している。三井住友フィナンシャルグループ(FG)は自然資本に関する自社の考え方を示す「TNFDレポート」を3メガバンクで初めて公表した。みずほFGはサステナブル(持続可能)ファイナンスを通じた2030年度までの累計投融資額目標を従来比4倍に引き上げた。資金の貸し手であるメガバンクが環境関連目標を強化することで借り手である企業の脱炭素化推進につなげる。(編集委員・水嶋真人)

三井住友、生態系依存度を可視化

三井住友FGが公表したTNFDレポートは、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の枠組みに基づき、自然環境の変化や生物多様性が企業業績に与える影響を表す自然資本との関係性や取り組みを開示した。

具体的には、環境変化が経済に与える影響を可視化できるツール「ENCORE」を用い、電力、紙・パルプなど業態ごとの生態系依存度をまとめたヒートマップを作製した。高梨雅之執行役員は「まず自然資本と企業活動の関係を整理した上で、リスク・機会をどう考えているかまとめた」と説明する。

3メガバンクはすでに気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の枠組みに基づき、気候変動に対する取り組みや影響に関する財務情報を開示する「TCFDレポート」を公表している。今回のTNFDレポート公表で銀行業界の環境対応に関する情報開示を一歩進めた格好だ。

みずほ、サステナ投融資100兆円

みずほFGは、サステナブルな社会の実現に向けた企業などの取り組みに投融資する「サステナブルファイナンス」を通じた19―30年度の累計投融資額目標を従来比4倍の100兆円に引き上げた。

環境省によると、22年の国内グリーンローン組成額は前年比4・7倍の7656億円。企業の脱炭素化にひも付いたサステナブルファイナンスを通じた資金調達需要が高まっている。みずほFGのサステナブルファイナンス累計投融資額も22年度中に20兆円弱に達することから目標数値を上方修正した。牛窪恭彦執行役は「多角的な観点から目標数値を検討した。グループの総力を挙げて正面から取り組めば、決して手の届かない数値ではない」と話す。


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三菱UFJ、26年度GHG排出半減

三菱UFJFGは、投融資ポートフォリオ(資産構成)の温暖化ガス(GHG)排出量ネットゼロに向けた業態ごとの30年中間目標に不動産(商業用・居住用)、鉄鋼、船舶を加えた。鉄鋼では30年の絶対排出量を19年実績比22%削減する。

自社の国内GHG排出量を25年度に20年度に比べて3分の2削減、海外を含むグループ全体の排出量も26年度に20年度比半減する目標も新たに示した。

企業に資金を供給する銀行が環境対応目標を強化すれば、環境対策を進めていない企業は資金を借りにくくなる。環境団体からの株主提案も厳しさを増す中、日本の金融業界をけん引するメガバンクはより一層の環境対応が求められる。

日刊工業新聞 2023年04月06日

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