「脱炭素宣言」で未来を描く企業が増加!昨年末比1.7倍に
温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「脱炭素」を目指すと宣言する企業が増え続けている。経済産業省の集計によると7月末で124社となり、2020年12月時点の72社から1・7倍に増加した。先行して宣言していた企業は脱炭素達成時期の前倒しや再生可能エネルギー導入の拡大など目標の強化に動きだしており、国内企業の脱炭素へのギアが上がってきた。
経産省は経団連や企業目標を認定する国際的な活動「サイエンスベースドターゲッツ」のウェブサイトから集計した。確認漏れの可能性があるとしており、脱炭素宣言企業はさらに多いと思われる。実際にSOMPOホールディングス(HD)やMS&ADインシュアランスグループHDも21年度、脱炭素目標を掲げた。
今回、まとめた124社を業種別にみると電力は11社、ガス・石油は8社と業界大手がほぼ宣言済み。食品関係ではビール大手4社、金融ではメガバンク3グループがそろって宣言した。また、大多数が50年の脱炭素達成を目指す中でDMG森精機が21年、西松建設やコニカミノルタ、日立製作所、日立ハイテクなどが30年に目標を設定している。
目標強化も相次ぐ。イオンは7月、40年をめどに店舗運営に伴う二酸化炭素(CO2)排出量をゼロにすると発表した。18年に公表した「50年ゼロ」を前倒しする。具体策として30年までに国内店舗での消費電力の50%を再生エネに切り替える。
富士通も30年度までに13年度比71・4%削減する目標を公表した。従来の同33%減から大幅な強化だ。「50年ゼロ」は据え置いたが脱炭素への機運の高まりを受け、30年目標を再設定した。
リコーも30年度までに15年度比30%削減する目標を「63%減」に修正した。さらに30年度の再生エネ比率の目標も30%から50%へ引き上げた。海外拠点の再生エネ導入ペースを考えると30%達成が射程に入ったためという。
ESG(環境・社会・企業統治)投融資が広がりを見せており、脱炭素宣言も企業評価の項目となった。一方、宣言が主流となると本気度が問われるようになる。政府も目標を強化しており、今後は50年よりも前の中間目標や再生エネ調達など、工程や具体策が評価軸となりそうだ。
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