業績好調・財務体質良好・受注堅調も…メイテックが直面する課題
メイテックは派遣型・受託型のエンジニアリングソリューション事業を展開している。自動車をはじめとするハードウエア系のエンジニアの需要が堅調に推移しているほか、半導体需要が高まる九州エリアへの派遣も進む。2023年3月期は過去最高益を記録。グループ全体でも増収増益で「新規受注も増えている」(広報部の三宅隆弘部長)という。
22年3月期の同社の自己資本比率は55・5%。20年3月期は57%台、21年3月期は59%台、22年3月期は前年同期に比べ4ポイント程低下しているが、これは「新型コロナウイルス感染症の影響が出始めた」(三宅部長)。
自己資本当期純利益率(ROE)は22年3月期で20・6%。21年3月期の15・8%から好調な業績を追い風に上昇した。「23年3月期のROEは24%台で着地すると見ている」(三宅部長)という。
同社は従業員への給与分として常に400億円の現金を確保している。借入金のない完全無借金の経営を続けており、きわめて優良な財務状態を維持している。投資しない分の配当は自己株に還元している。
一方で取引先となる大手製造業が各社で次代を見据えた技術開発投資を進めていることから、メイテックの受注環境は手堅い。22年3月期の売上高営業利益率は12・0%。21年3月期の10・6%と一時的に下降したが、持ち直している。
好調な業績と良好な財務体質、さらに堅調な受注や市場だが、人材の確保が課題となっている。23年1月末時点で稼働率が96・6%にまで届いている状況で、約1000件の受注残がある。中途採用なども組み合わせて人材は増やし続けているが、売り手市場が続いている。「人の採用の基準は下げられない」(三宅部長)とし、採用数の確保や育成に奔走している。トレンドに即した人材の高い品質を、どのように担保していくかが今後の課題だ。