国産杉を窓枠に、YKK APが挑む「価格の壁」
YKK APは開発中の木製窓に国産杉を使用する検討に入った。地産地消が可能な上、入手や加工が容易で比較的価格が抑えられると見ている。現在国内で流通する木製窓の価格は同程度の断熱性能を持つ樹脂窓に比べて約4―5倍高い。同社は2030年度に住宅向け窓の販売数の2割に当たる70万―80万窓を木製窓にする方針を掲げる。国産杉を使って工業製品化し、24年度の投入時には樹脂窓との価格差を2倍程度に抑え、普及に弾みをつける。
使用する杉は森林資源が不足しないように若木ではなく、二酸化炭素(CO2)排出量が低下した木の使用を検討する。性能や意匠性に加え、地産地消や環境への配慮など社会的な価値を付加していく。
木製窓は日光や水によって劣化するため保守が必須。住宅の外側だけアルミニウムの覆いを付けることで保守の手間を減らし、室内は高い断熱性と木の意匠の高さを楽しめる形状にする。また投入時には、比較的構造が単純な突き出し窓などに種類を絞って展開する。使用場所や用途によって、樹脂窓や樹脂とアルミの複合窓の併用も推奨する。
開発を担当する木質建材部に、木の特性や取り扱いに知見のある人材を採用した。24年度の発売に向けて加工や管理方法、木材の調達地域などを詰める。投入時は東北製造所(宮城県大崎市)と富山水橋工場(富山市)で製造し、販売数量の拡大に伴い設備増強を検討する。
また、集合住宅向けでは24年度以降に木製窓を、同年度に樹脂とアルミの複合窓をそれぞれ投入する予定。
日刊工業新聞 2023年04月03日