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過去20年で最大規模の転出超過、企業の「脱首都圏」が広がり始めた

2年連続 転出超過

帝国データバンク(TDB)がまとめた2022年の「首都圏・本社移転動向調査」によると、首都圏の本社移転動向は、転出が転入を77社上回る「転出超過」となった。首都圏では2年連続の転出超過で、09―10年以来12年ぶり。転出超過の規模は過去20年で最大だった。TDBは「首都圏の企業吸引力は相対的な低下傾向がみられる」としている。コロナ禍を機に、地方へ本社を移転する「脱首都圏」の動きが広がっている。

首都圏から地方へ、本社または本社機能を移転した企業は335社あった。調査開始の1990年以降で最多だった21年の351社からは16社減少したものの、コロナ禍直前の19年からは1・4倍に増加し、過去2番目の多さを記録した。一方、地方から首都圏に本社を移転した企業は258社となり、21年の328社からは2年ぶりの減少となった。

首都圏からの移転先として最多だったのは茨城県(34社)。次いで大阪府(30社)、愛知県(24社)となった。移転先となる地域は41道府県となり、90年以降で最多だった。「リモートワークが定着したことで、遠隔地のほか、人口密度の低い地方・中核都市が本社移転先の有力候補に新たに浮上している」(TDB)。

首都から転出した企業の業種は「サービス業」が129社(38・5%)でトップ。ソフトウェア開発やベンダー、飛行ロボット(ドローン)開発など先端技術産業を含めたソフトウェア産業が29社あり、サービス産業全体の2割超を占めた。

売上高規模別では最も多かったのは「1億円未満」(149社)で多くが小規模な企業だった。

調査は22年に首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)と地方間を跨いだ「本社所在地の移転」が判明した企業(個人事業主などを含む)について、TDB保有のデータベースを対象に分析した。

日刊工業新聞 2023年03月22日

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