コマツ・酒井重工業・三笠産業…建機に電動化の大波、陰の主役は「ホンダ製」
建設機械業界で電動化の波が拡大してきた。15日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開幕した見本市「国際スマートグリッドEXPO」のホンダの展示ブースで、コマツと酒井重工業、三笠産業(東京都千代田区)の3社がそろってリチウムイオン電池(LiB)駆動の電動ショベルや電動ローラーを出品し、顧客に開発の進展をPRした。3社の製品はいずれもホンダ製の着脱式可搬バッテリーと電動パワーユニットを搭載。電動の弱点である「充電待ち」の問題をカバーする。(編集委員・嶋田歩)
建機は公道を走る一般車や軽自動車と異なり、近くに充電ステーションがない山奥などの工事現場でも作業しなければならない。ただ、パワーや充電時間の問題をクリアするため大容量のLiBを搭載すると車体が大型化することに加え、高い価格がさらに跳ね上がってしまい、現実的でない。コマツではこうした問題に対し、ホンダの着脱式可搬バッテリーの採用で解決を狙った。
着脱式のため、作業中に電池残量が少なくなっても、充電済みのバッテリーと交換して作業を続けられる。充電時間中に機械の稼働を止めずに済む。電動の長所である排ガスゼロや騒音・排熱が少ない利点も生かすことができ、都市部での工事や夜間工事、地下工事、屋内工事にはうってつけだ。
コマツは2022年3月に着脱式可搬バッテリーを搭載した第1弾の機種として0・3トン級「PC01E―1」のレンタル販売を国内市場で開始。今回の見本市では、より大型の0・5トン級「PC05E―1」を披露した。
ホンダ担当者は「電動パワーユニットは以前から開発済みだが、コマツとは振動や防水性など建機特有の課題に合わせて共同開発した」と明かす。電動建機で当初主流だった鉛バッテリーは稼働時間が短いため多い本数をそろえなければならず、環境対応の問題もある。加えて、継ぎ足し充電をすると劣化が急速に進む。LiBは鉛よりは稼働時間が長いものの建機ではなお不足する問題があり、可搬着脱式でクリアした。
コマツに加え、今回は酒井重工業、三笠産業の2社も電動ローラーを開発。マイクロショベルで騒音が気になる夜間に掘削工事を行い、仕上げの舗装を電動ローラーで行うイメージという。すべて共通の可搬式着脱バッテリーであるため互換性があり、不意の故障時の対応やメンテナンスにも便利だ。「他社からも着脱式バッテリーの問い合わせが寄せられている」(ホンダ担当者)とし、今後、電動化建機が相次いで登場しそうな気配だ。普及効果が期待される。
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