「これは自分だ!」、魚類ホンソメワケベラは自分の写真見て認識
大阪公立大学の幸田正典特任教授らの研究グループは、魚類が自分の写真を見て「これは自分だ」と認識できることを実証した。判断材料は体ではなく、顔であることも明らかにした。動物の認知研究の発展に寄与すると期待される。
ヒトは鏡に映る顔を見て、自分が把握している顔のイメージと瞬時に比較してその姿が自分だと認識する。魚類のホンソメワケベラもこの機能を持つ。今回は動物がどのように自己鏡像を自分だと認識するかについて、ホンソメを用いて実験した。ホンソメの顔には、個体ごとに異なる模様がある。
ホンソメに「自分の写真」「未知個体の写真」「自分の顔と未知個体の体の合成写真」「未知個体の顔と自分の体の合成写真」を提示した。鏡を見たことがない個体に自分の写真を示すと、写真を激しく攻撃した。鏡像の自己認知ができる個体は、自分の写真への攻撃はしないが未知個体の写真に対しては攻撃した。「自分の顔と他者の体」の写真には攻撃しなかったが、「他者の顔と自分の体」の写真に対しては攻撃した。
また自己写真に寄生虫のようなマークを付けて提示したところ、8匹中6匹が寄生虫を取ろうとして自分の喉を擦った。マークのない自己写真やマークのある親しい個体の写真を見せても自分の喉を擦ることはなかった。
日刊工業新聞 2023年03月08日