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全固体電池の出力向上へ、固体―固体電解質界面の電気二重層容量を簡単測定

東京理科大と物材機構が新手法

東京理科大学の樋口透准教授と物質・材料研究機構の土屋敬志主幹研究員らは、全固体電池などで課題となっている固体―固体電解質界面の電気二重層容量を簡単に測定する手法を開発した。化学的に安定な水素化ダイヤモンドを用いて電気二重層トランジスタを作る。界面から1ナノメートル(ナノは10億分の1)以下の材料組成を調整すると電気二重層容量を制御できた。全固体電池の出力向上などにつながる。

水素化ダイヤモンド上にリチウム固体電解質や電極を積層してトランジスタを作製した。リチウム固体電解質と水素化ダイヤモンドの界面がトランジスタのドレイン電流の通り道になる。ここに厚さ5ナノメートルのニオブ酸リチウムやリン酸リチウムの中間層を挿入した。

すると応答速度がニオブ酸リチウムでは54倍、リン酸リチウムでは5分の1になった。電気二重層の厚みは0・5ナノメートルと見積もられた。こうした界面特性の評価は界面抵抗の改善につながる。全固体電池では界面抵抗が出力向上を妨げていた。


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日刊工業新聞 2023年03月08日

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