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東京理科大が正極材を開発、「マグネシウム電池」の構造

東京理科大学の井手本康教授と北村尚斗准教授らは、マグネシウム電池の正極材を開発した。充放電を繰り返すと結晶構造の歪みが緩和されて放電容量が最大化する。この過程を解析し、元素同士の働きを突き止めた。マグネシウムは2価のイオンになるため、1価のリチウムイオンを用いるよりもエネルギー密度を上げられると期待される。

マグネシウムとバナジウム、マンガンの3元素の複合酸化物で正極を作製した。放電容量は1グラム当たり最大256ミリアンペア時。初期状態は73ミリアンペア時で十数回の充放電で容量が最大になった。

この過程を分析すると、マグネシウムイオンの脱離と挿入の繰り返しでバナジウム酸化物の歪みが大きくなっていた。これをマンガンイオンが緩和する。繰り返すうちに結晶構造が安定化し放電容量が上昇した。最適なマンガンの組成比などを特定。高エネ密度の電池開発につなげる。

日刊工業新聞2023年2月20日

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