半導体材料を迅速開発へ、レゾナックが生かすVR技術
レゾナック(旧昭和電工マテリアルズ)は15日、半導体材料の開発への仮想現実(VR)技術の活用を開始したと発表した。従来は専門的な計算技術によってシミュレーションしていた分子の動きを目の前で3次元的に観察できる。計算技術の専門家ではない材料開発者も計算結果を深く理解し、材料開発に役立てられる。
第1弾として研磨材料(CMPスラリー)をはじめ半導体・電子材料での無機基板と有機分子の相互作用メカニズム解析への活用を始めた。VR端末を介して、0・1ナノメートル(ナノは10億分の1)サイズの原子や分子の世界を目の前に表現する。直感的に操作しながら3次元的に基板と分子界面に近づいて観察できるようになった。
開発者は分子の観察をもとに分子挙動のシミュレーションや計算結果を深く理解し、分子の長さを変更するなどの改良を検討する。改良と計算、VR観察を繰り返し、目的の特性を持つ材料を迅速に開発する。今後、他の材料でも利用する。
日刊工業新聞 2023年2月16日