米と格差、日本企業はITに強い役員が少ない
情報処理推進機構(IPA)は9日、企業のデジタル変革(DX)の動向や課題を分析した「DX白書2023」を公表した。日本と米国企業のITの見識を持つ役員比率の調査で、日本は3割未満の企業が大半を占め、DXが進む米国との開きが大きいことが分かった。IPAは経営陣のITへの理解を高めるとともに、経営陣とIT・業務両部門の協調が必要としている。
DX白書は日米企業へのアンケートを基に、企業の戦略や人材育成、データの利活用などの現状や課題をまとめた。日本企業ではITに詳しい役員の比率が徐々に高まっているものの、経営陣の3割以上を占める企業は全体の3割弱にとどまった。一方、米国企業は6割に上り、日米間で大きな差が生じている。DX推進には経営陣のリーダーシップが不可欠で、白書は「ITへの理解が不十分であることにより、取り組みが阻害される懸念がある」と指摘した。
DXに向けた全社的な協調でも日本企業の遅れが目立つ。「十分にできている」「まあまあできている」と回答した日本企業は合わせて4割弱だったのに対し、米国企業は約8割に達した。経営陣とIT部門、業務部門が連携する組織作りが必要としている。
DXの推進にはビジョンの策定や取り組む領域の明確化、成果の評価といった対応が求められる。DX白書は「一連のプロセスを早いサイクルで繰り返し、失敗から学習しながら取り組みを進めることが大切」とした。
日刊工業新聞 2023年02月10日