工作機械受注が4年ぶりに1兆7000億円を超えた要因
日本工作機械工業会(日工会)が発表した2022年の工作機械の受注実績(確報値)は、前年比14・2%増の1兆7596億100万円と2年連続の増加となった。4年ぶりに1兆7000億円を上回り、18年に次ぐ過去2番目の水準を記録した。内需は同18・2%増の6032億3100万円、外需は同12・1%増の1兆1563億7000万円で、ともに2年連続の増加。外需は初の1兆1000億円超えで過去最高を更新した。
前年からの回復傾向が継続し、コロナ禍からのペントアップ(繰り越し)需要が出たことに加え、半導体関連装置や電気自動車(EV)関連向け需要が拡大した。これにより日本をはじめアジア、欧州、北米の各主要市場が軒並み活況だった。
中国は同5・3%増の3769億9600万円で2年連続で過去最高を更新。パソコンやスマートフォン関連需要は低調だったものの、自動化需要やEV投資が好調だった。米国も同23・6%増の3119億400万円で、初めて3000億円を上回り過去最高を更新した。ジョブショップ(中小加工業者)やインフラ、医療機器、半導体など幅広い業種で自動化などの設備投資が拡大した。欧州もエネルギー問題などの懸念を抱えながらも、イタリアが同1・2%増の422億500万円で過去最高を記録するなど、全体的に堅調に推移した。
また日本は、半導体関連装置需要の伸びや補助金の後押しもあり、11業種中9業種で増加した。
22年12月単月の受注額は、前年同月比0・9%増の1405億4400万円で3カ月ぶりの増加に転じた。1400億円超えは2カ月ぶり。内需は22年単月の最低額となるなど力強さに欠けたものの、米国やインドで大型受注があった外需がけん引した。
日工会の稲葉善治会長(ファナック会長)は1月以降の受注動向について「欧米などでのインフレや利上げ、中国の春節休暇による稼働日数の減少が影響し、しばらくは落ち着いた展開になる可能性がある」との見通しを示した。
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