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ホンダは32%減…全6社前年割れの日系メーカー米国新車販売、今後の動向は?

ホンダは32%減…全6社前年割れの日系メーカー米国新車販売、今後の動向は?

好調に推移したトヨタのピックアップトラック「タンドラ」

2022年の米国と中国の2大自動車市場は、半導体不足や新型コロナウイルスの感染拡大でサプライチェーン(供給網)の混乱が続き低迷した。日系自動車メーカー6社合計の米国新車販売台数は、前年比17・9%減の475万台と2年ぶりに減少した。日系6社合計の中国新車販売は、同11・8%減の451万台と2年連続でマイナスとなった。足元では米国で生産回復の兆しが見られるものの、23年も不透明な状況は続きそうだ。

22年の日系メーカー別の米新車販売は全6社が前年割れとなり、ホンダは前年比32・9%減と大幅な減少となった。半導体不足に伴う車の生産制約で、需要に見合った販売ができない状況が続いた。

一方、足元では部品不足の影響が徐々に緩和。日系6社合計の22年10―12月期の米新車販売は、前年同期比6・6%増の123万台と増加に転じた。

22年12月単月ではトヨタ自動車が前年同月比3・5%増と4カ月連続、SUBARU(スバル)が同11・0%増と5カ月連続で増加した。しかしホンダは同10・7%減と17カ月連続で減少した。

調査会社のマークラインズによると、22年の米市場全体の新車販売(推定値を含む)は、前年比7・8%減の1390万台と2年ぶりに減少。コロナ禍前の19年と比べ約2割減と低迷した。米メーカーではゼネラル・モーターズ(GM)が同2・5%増の225万台と、2年ぶりにトヨタを抜き首位となった。テスラは同48・2%増の52万台だった。

22年は中国でも日系メーカー全6社の新車販売台数が前年割れとなった。コロナ禍に伴うロックダウン(都市封鎖)で車の生産や販売が停滞した。

22年12月単月の日系6社合計の中国新車販売は、前年同月比24・9%減の40万台と、3カ月連続で減少した。トヨタは同19・8%減と2カ月連続で減少。「全国的な感染拡大による来店者数の大幅な減少が大きく影響した」(同社)。日産自動車も同41・7%減と5カ月連続で減少。ただ減少率は22年11月の同52・5%減より改善し、同社幹部は「心強く感じている」とした。

中国汽車工業協会によると22年の中国市場全体の新車販売は、前年比2・1%増の2686万台と2年連続で増加した。コロナ禍前の19年と比べ4・2%増加したが、過去最高となった17年比では7・0%減と低調だった。22年の電気自動車(EV)の新車販売は同81・6%増の536万台と、全体の約2割を占めた。

野村証券の桾本将隆アナリストらは9日付のリポートで、23年の米国市場全体の新車販売台数を1690万台と予想。生産の正常化が進む中、新車供給の改善でペントアップ(繰り越し)需要が実現することで「不況下でも23年の新車販売台数は大幅に増加する」と見る。

一方、23年の中国市場は減税効果の剝落などで減少するとの見方が広がる。ただ、中国汽車工業協会は半導体不足などの大幅な緩和を織り込み、22年比約3%増の2760万台程度と予測している。


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日刊工業新聞2023年1月23日

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