中小企業の「DX」成果わずか2割、最大の障害は?
帝国データバンク(TDB)がまとめた、業績好調な中小企業の「デジタル変革(DX)」の取り組み動向調査によれば、9割近くの中小企業がDXを「必要」と認識しているものの、実際にDXの成果が出ている企業は約2割にとどまっていることが分かった。最も大きな障害となっているのは、DXを推進できる人材の不足だった。TDBは「デジタル人材育成への支援策が今後ますます求められる」としている。
DXに「取り組んでおり、成果が出ている」と回答した企業は21・6%で、「取り組んでいるが、はっきりとした成果はまだ出ていない」とした企業は30・7%だった。約半数の52・3%の企業が何らかの形でDXに取り組んでいる結果となった。
DXに取り組んでいる企業436社で最も成果が出ているのは「業務効率化・生産性向上」だ。「成果が出ている」(22・0%)と「やや成果が出ている」(47・0%)で、約7割を占めた。
DXへの取り組みの有無にかかわらず、DXを推進する上で課題や障害になることについては、「対応できる人材が不足」が54・1%で最も高かった。次いで「既存システムからの移行が難しい」が24・7%だった。
また、DXが成果を上げるために重要と考える要素として、最も多かったのは「適切な人材の存在」で35・8%。その一方で「経営層のDXに関する知見や熱意」(35・1%)や「適切なDX戦略の策定」(32・8%)を挙げる企業も、同程度の割合を占めた。
調査は2022年11月に郵送で実施。TDBの企業概要データベース「COSMOS2」から、売上高上位4992社のうち、2期連続で増収増益の業績好調な中小企業を対象とした。分析対象は834社(回答率は16・7%)。
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日刊工業新聞 2023年01月24日