ALSOKが狙う、「警備」と次の柱のシナジー創出
綜合警備保障(ALSOK)は6月に関西電力の介護事業を譲受した。警備事業を基幹事業とする方針は今後も変わらないが、栢木伊久二社長は「警備だけが今後伸びていくわけではない」と話す。介護事業、綜合管理・防災事業、そして将来的には海外事業を警備に次ぐ柱に育て、中期経営計画で掲げる2026年3月期売上高約6500億円(22年3月期4890億円)の達成を目指す。
同社は14年に日産自動車の子会社、日産クリエイティブサービス(横浜市戸塚区)の警備と総合管理事業を譲受し、17年に日立の子会社、日立セキュリティサービス(東京都千代田区)を子会社化した。他社が選択と集中によって手放した事業を譲り受けることで、契約数や人材を増やし、高付加価値化・効率化を目指している。
また警備、介護、総合管理はいずれも労働集約型産業。中小企業が多く、人手不足という共通の課題を抱えており省人化が急がれる。同社は警備事業で人工知能(AI)活用やロボット開発を行う。介護の領域においてもいち早くデジタル化を進め、入浴介助ロボットや離床センサー、電子カルテなどの共同実証や導入を進める。栢木社長は「省人化になり、離職の防止にもつながるのでは」と語る。
喫緊の課題は警備事業と綜合管理・防災事業の相乗効果(シナジー)の創出。一棟のビルに対し警備だけ契約している場合、異常を感知しても原因が他社の受け持つビル管理の領域だと一時対応しかできず、修理や異常の根本的な原因の除去ができないことがある。同社の最も利益率の高いセグメントは機械警備で13%。次点が綜合管理・防災事業の12%。警備から管理までビル一棟まるごと同社が契約し、また多能工化によってビル管理の資格を有した人材を増やせられれば、対応速度が高まり収益性も高められる。
栢木社長は「シナジー創出の余地はまだまだある」と話す。事業間の連携をより強固にし、共通課題の解決に積極的に取り組む考えだ。