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在庫圧縮・納品も即応…島津製作所が海外供給網の体制見直し

在庫圧縮・納品も即応…島津製作所が海外供給網の体制見直し

グローバルで最適に製品を供給できる体制を整備する(島津製作所本社)

島津製作所は2023年度からの次期中期経営計画で、海外への製品供給などの体制見直しに着手する。コロナ禍や地政学リスクで顕在化したサプライチェーン(供給網)の課題に対応。部品不足や物流の混乱に対する強靭性を維持しながら在庫コストなどを抑制し、グローバルで最適に製品を供給できる体制を整備するのが狙い。次々期中計も見据えて改革を進める。

海外市場向けの製品在庫管理の見直しは一部先行して始めた。国内生産品を海外市場に供給する場合、現地在庫を最小限に抑えることで、地域ごとの需要変動に対応しやすくする。これまで各市場の需要予測に応じて在庫を置いていたが、需要予測にズレが生じた場合、米国から欧州へというように拠点間で在庫を移動する不効率が生じていた。今後は必要に応じて適切なタイミングで日本から直送し、輸送コストの削減につなげる。

一方、海外生産品では製品の心臓部の構成を見直し、現地調達できる範囲を広げる。同社では競争力を左右する心臓部は技術流出を防ぐために国内で生産し、海外の生産拠点に供給しているが、物流混乱などで輸送できず現地生産がストップしたという。日本から供給する心臓部の現地在庫を確保するためにも、部品点数の見直しや現地の協力工場の開拓などを進め、現地対応できる部分を増やしていく。

製品在庫から部品調達、仕掛品の置き方などを見直すと同時に、開発面では海外での機能・体制も強化していく。山本靖則社長は「23年内にも考え方をクリアにし、実際に運用していくための仕組み作りの構築を急ぐ」と話す。

日刊工業新聞 2023年01月20日

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