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島津が製品化へ、世界最小サイズの発酵酵素の特徴

島津が製品化へ、世界最小サイズの発酵酵素の特徴

世界最小の発光酵素「picALuc(ピカルック)」のイラスト(島津製作所提供)

島津製作所は、東京工業大学と共同で世界最小サイズの発光酵素を開発した。従来の発光酵素と同等の明るさに加え、高い熱安定性で扱いやすいことが特徴になる。ライフサイエンス分野の基礎研究から新薬候補物質の探索、診断・検査などの用途を想定し、国内の研究機関や大学、製薬企業にサンプルを無償提供する。改良や用途開発を加速させ、2023年までに製品化を目指す。

新開発の「picALuc(ピカルック)」は、小型節足動物であるカイアシ類由来の発光酵素を用いた。広く使われているホタル由来の発光酵素は62キロダルトン(ダルトンは分子量の単位)で、近年使われるようになった深海エビ由来の発光酵素は19キロダルトン。ピカルックは主要構造を壊さずたんぱく質構造を削り、13キロダルトンを実現した。

明るさはホタル由来と比べて100倍以上の深海エビ由来と同等だという。発光酵素は標的となるたんぱく質に融合させ、位置や発現量を示す指標に使われる。発光酵素が大きいと標的の挙動を阻害してしまうなどの課題があった。

日刊工業新聞社2022年4月26日

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