施工時CO2排出ゼロ、清水建設が開発したスゴイ地盤改良新工法
清水建設は東洋スタビ(岐阜県大野町)と共同で、施工時に排出する二酸化炭素(CO2)を実質ゼロにする地盤改良工法を開発した。地盤に溶融スラグとバイオ炭を混入し、粘性土の土性を改善。これにより、製造段階で大量のCO2を排出するセメント系固化材の使用量を抑える。固化材に起因するCO2はバイオ炭に吸収・固定化されたCO2と相殺し、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)を実現する。
同工法では地盤の上に溶融スラグとバイオ炭、セメント系固化材を敷きならした後、混合撹拌機で締め固めて要求される強度を構築する。溶融スラグは1立方メートル当たり550キロ―1750キログラムを混入し、セメント系固化材の使用量を従来工法より約60%削減。約30%のコスト低減効果も見込む。一方、バイオ炭は同10キロ―30キログラムを混入してCO2を貯留。混入量を増やし、CO2の吸収量が排出量を上回るカーボンネガティブの実現も目指す。
混合処理工法による地盤改良工事では、固化材として使うセメントの使用量がCO2の排出量に大きく影響する。溶融スラグの混入によって改良対象土の土性が改善されれば、要求強度を満たすために必要なセメント量を低減できる。さらに、ここに光合成で吸収したCO2が固定されたバイオ炭を組み合わせることで、セメント系固化材から排出されるCO2をバイオ炭による貯留で埋め合わせることを可能にした。
日刊工業新聞 2023年01月17日