性能26倍、東北大などがマグネシウム・スズ化合物の熱電変換性能向上
東北大学の黄志成大学院生と林慶准教授、宮﨑讓教授らは、中国・清華大学と共同で、マグネシウム・スズ化合物の熱電変換性能を向上したと発表した。マグネシウムの一部をリチウムに置換して空孔欠陥を導入する。熱が流れにくく、電気の流れは妨げない物質を作ることができる。リチウム置換によって性能を表すzTが26倍に向上した。
温度差で正孔が流れるp型の熱電変換材料を開発した。マグネシウム・スズ化合物単結晶をリチウムで部分置換する。リチウム濃度を2・5%に増やすと空孔欠陥量が約15%まで上昇した。
電子顕微鏡で観察すると空孔欠陥と線欠陥の転位、析出物が存在した。空孔欠陥の熱伝導率を下げる効果が大きい。熱電変換性能は700ケルビンでzTが0・38と無置換単結晶の26倍になった。
温度差で電子が流れるn型の半分まで引き上げられた。n型とp型を交互に接続して発電量を増やすため、双方の性能向上が必要だった。自動車や工場が排出する中高温の排熱の電力利用につながる。
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日刊工業新聞 2023年01月13日