中小宿泊業のDXを支援するJTBの思惑
JTBはホテルや旅館などの宿泊施設の管理システムと自動チェックインなどのサービスを連携させるシステム「JTBデータコネクトハブ」について、2025年度までに1800施設に導入を目指す。中小・零細企業の多い宿泊事業者のデジタル変革(DX)を後押しして生産性の改善を支援するとともに、宿泊客の利便性も向上させることで、旅行産業の活性化につなげる。
宿泊事業者は予約や販売価格などを管理するホテル管理システム(PMS)を導入している。同時に宿泊客や事業者の利便性につながる自動チェックインや自動精算などのデジタルソリューションサービスを導入する施設も増えている。
宿泊客からのデータを有効活用するにはPMSとの連携が必要だが、デジタルソリューションサービスは多数存在する上、提供する事業者も多い。PMSとの接続コストも必要なため、連携の障壁だった。このため夜間に手作業でデータを入力している宿泊事業者も多く、従業員の負担になっている。
開発したシステムは、これらのサービスとPMSのデータを連携させるもので、応用プログラムインターフェース(API)を共通化して外注費や必要な時間を削減。サービスを導入しやすくした。
同システムは22年11月に提供を開始し、23年2月から接続するサービスを拡充するなど営業を本格化する。JTBの経済団体である「JTB協定旅館ホテル連盟」の加盟事業者に提供する。
宿泊業界はコロナ禍で打撃を受けた上、慢性的な人手不足に悩まされている。同システムの導入で生産性を向上してもらうと同時に利便性を高め、宿泊客の増加やリピーター獲得に役立ててもらう。
日刊工業新聞 2023年01月05日