深刻な人材不足、介護職員の環境改善へ政府が全国にワンストップ窓口
政府は介護職員の勤務環境を改善するための総合政策パッケージをまとめた。事業者に対するさまざまな支援メニューを一体化し、適切な支援につなぐワンストップ窓口を全国に設置する。課題に対応する介護ロボットや情報通信技術(ICT)機器の導入を促し、相談対応や職員向け研修も含めた伴走型支援を進める。介護現場の生産性向上と人材確保につなげるのが狙い。
政府がこうした施策を打ち出すのは、深刻な人材不足が背景にある。要介護認定者は現在約680万人とされ、今後さらに増える見通しだ。
一方で、介護職員数は約211万人(2020年3月末時点)にとどまっている。40年度には約280万人が必要と推計され、約69万人が不足すると試算されている。生産年齢人口が急減していく中で、介護人材の確保が高齢者介護政策の大きな課題となっている。
ワンストップ窓口では、厚生労働省のほか、中小企業庁、中小企業基盤整備機構、福祉医療機構などが連携する。また介護事業者のICT導入や生産性向上を促進するため、ものづくり補助金や事業再構築補助金などをより活用しやすい環境を整える。
介護ロボットやICT機器については、どのような機器を導入すればよいか、全国の介護施設の協力を得て実証を行った上で代表的なモデルを提案する。
現行では介護施設の職員について、サービス利用者3人に対して職員1人を配置するのが基準となっている。テクノロジーや「介護助手」などの活用によって、より少ない人数で運営できる可能性があることから、人員配置の基準を柔軟化する方向で検討していく。
日刊工業新聞 2023年01月04日