テレワーク制限を廃止した医療機器メーカー、退職率に与えたインパクト
日本メドトロニック(東京都港区、ロブ・サンドフェルダー社長)は、働く場所と働く時間の制度を大きく改定した。テレワークの日数制限を廃止し、コアタイムのない「スーパーフレックス」勤務制度を導入。コロナ禍で広がったテレワークの利便性を向上させ、ライフスタイルに合わせて全国どこからでも働ける環境を整備した。現在、毎月の出社率は平均して10%台だが、業務の進行や生産性に影響はなく、今後も継続する。
日本メドトロニックでは新型コロナウイルス感染症の流行が始まった2020年から積極的にテレワークを実施してきた。社内調査では社員80%以上がコロナ後もテレワークを希望したことから、21年3月、新たな社内制度を導入した。
一つ目は、テレワークの日数制限なく、国内のどこでも就業できるとした、働く場所の改定だ。これに合わせて固定の通勤費を廃止し、1カ月当たり15万円までの実費支給へと変更した。またこれまで2フロアだった本社オフィスを1フロアに集約した。どこからでも働くことができる制度を導入したことで、海老沢淳マネジャーは「実家の両親との同居や家族の転勤、さらに単身赴任で来ていた社員などが東京から地方へ移ったと聞いている」と説明する。
二つ目の改革として、コアタイムをなくし午前5時から午後10時の間いつでも就業可能なスーパーフレックス制度を導入した。また、就業時間内に数時間勤務から離れることも可能なため、育児や介護の時間を確保がしやすく、時短を取らずフルタイムで働ける社員が増えたという。
個人、または家族の希望や事情に合わせて働ける制度により、テレワークのメリットを最大限に生かすことができたことで、退職率も25%低下したという。海老沢マネジャーは「全国どこからでも優秀な人材が働ける会社として、人材確保の効果も期待できる」と話す。社員の働きやすさが企業の新たな魅力へつながる。