三菱マテリアルで浸透、「遠隔地リモート勤務制度」の利点
待遇、従来と同等保証
三菱マテリアルが今春導入した管理職対象の「遠隔地リモート勤務制度」の利用者が増加している。勤務地の通勤圏外に住みながらテレワーク中心で働く制度で、配偶者の転勤や家族の介護などの事情でも、退職や家族と別居する必要がなくなる。柔軟な働き方ができる環境を整えることで人材のつなぎ留めや少子化に向け人材を確保する狙いで、社内で浸透しつつある。(編集委員・山下哲二)
三菱マテリアルの遠隔地リモート勤務制度は、従来の勤務地に関する考え方にとらわれない働き方を目指した制度。導入時は事務系やシステム系などの管理職中心に10人だったが、制度が社内で浸透し、11月末時点で14人に増加した。
同制度では本人と会社側の話し合いで、勤務地や期間などの適用条件を決定する。勤務地は国内に限定されるが、各自のライフスタイルや環境に適した場所が選択できるため、多様な働き方の選択肢の一つとなる。社宅の貸与、通勤費の支給などはないが、給与などの待遇は従来と同等の水準が保証される。
対象者の主な業務はリモートを活用するため、育児や家族の介護が必要になった場合でも、従来と同様に遠隔地で勤務できる。また時間を有効に活用することで、生産性向上も狙う。
日本の企業では共働き世帯が増えるなか、配偶者の転勤に伴い退社するケースも少なくない。三菱マテリアルは製造拠点が多く、在宅勤務制度の導入には拠点ごとにバラつきがある。こうしたなか、リモート勤務の全従業員への導入は時期尚早という判断から、まず非組合員の管理職に限定して導入した。実際の活用状況などを精査した上で、今後の対応を決定する方針。
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日刊工業新聞 2022年12月16日