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宇宙関連事業拡大狙う、オリックス系が“宇宙環境”貸し出し

宇宙関連事業拡大狙う、オリックス系が“宇宙環境”貸し出し

レンタルを始める小型真空試験装置(右)と高性能温度制御装置

宇宙環境を再現

オリックス・レンテック(東京都品川区、細川展久社長)は宇宙環境を再現できる「小型熱真空試験装置」一式のレンタルサービスを月内に始める。宇宙産業への参入を目指すベンチャー企業を中心に同サービスを訴求し、近年加速する小型衛星開発を後押しする。最初の1年間で6件の受注を目指す。宇宙航空研究開発機構(JAXA)と連携して環境試験設備の利用拡大も支援しており、宇宙関連事業のさらなる拡大を狙う。

熱真空試験装置は、人工衛星など宇宙で使う部品の耐久性や機能を測定する際に用いる。内部を真空にした上で、日照と日陰で200度C以上の温度差がある宇宙環境を再現できる。

今回、レンタルする装置一式は「小型真空試験装置」と「高性能温度制御装置」の二つ。小型真空試験装置内の空気をポンプで吸引して真空状態を作り、高性能温度制御装置から不凍液を流して温度制御する。

従来装置は液体窒素を使って温度調節しており、貯蔵タンクなどの大がかりな設備が必要だった。一方、同社が扱う装置一式は液体窒素タンクの代わりに不凍液を使用して温度制御し易くなったのと同時に小型化も実現した。

レンタル料は5日間の場合、小型真空試験装置が消費税抜きで84万円、高性能温度制御装置が同59万2900円。

人工衛星で使用する電子部品や通信モジュールなどを手がけるベンチャー企業向けを念頭に同サービスを提供する。

オリックス・レンテックは2020年からJAXAと筑波宇宙センター(茨城県つくば市)の環境試験設備を外部開放して企業が利用できる事業を始めている。21年の世界の人工衛星の打ち上げ数は民間企業の参入により10年前に比べ約14倍に増加。同社は今後、宇宙関連で試験装置のレンタル需要が高まるとみている。

日刊工業新聞 2022年12月23日

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