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他人由来の「ひも状」iPS網膜、世界初の移植が実施された

他人由来の「ひも状」iPS網膜、世界初の移植が実施された

RPE凝集紐のイメージ(神戸アイセンター病院提供)

神戸市立神戸アイセンター病院は、他人由来のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した網膜色素上皮(RPE)細胞を、ひも状に凝集した状態で移植する臨床研究において、世界初の手術を11月下旬に実施した。RPE不全により目が見えにくくなった関西在住の50代女性に移植。合併症なく予定通り終了したという。今後も臨床研究を続け、同移植の有効性・安全性を検討する。

同病院はこれまで、細胞シートや細胞懸濁液を使う方法の臨床研究を実施。細胞懸濁液を使う方法は、細胞シートを使う方法よりも侵襲性が低い。だが細胞懸濁液は、網膜へ注入した後に逆流する事例が確認されたことなどからいったん中断。代わりにひも状での移植に切り替えて臨床研究を進めていた。

栗本康夫院長は「網膜はこれまで再生医療が不可能とされてきた。すぐに効果的な治療を作るのは難しいが、いずれ多くの患者の視力を取り戻せられれば」と期待を込めた。

日刊工業新聞 2022年12月15日

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