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三菱電機が製作所長・部長級など連携深化、品質不正の背景を解消できるか

三菱電機は2023年4月にも、事業本部を横断する製作所長や部長級の人事交流を始める。品質不正問題の背景として指摘された組織間の壁をなくし、連携を深める。従来の経営幹部候補育成制度に、事業本部間の人事異動や困難な課題を与える「タフアサインメント」などを取り入れ、執行役や執行役員などの候補人材の育成を強化する。育成のため、所長、部長、課長級の3層の候補者を選んだ人材プールを23年9月末までに設ける。

三菱電機は入社した際に所属する事業本部内で異動するのが慣例で、事業本部を跨ぐ人材交流が少ない。組織の縦割り構造が強い理由の一つと考えられ、品質不正を生んだ組織風土として指摘された。組織風土を変える取り組みの一つとして、管理職層だけでなく若手社員も含めて、事業本部を跨いだ人事異動を活性化していく方針だ。

所長、部長級の異動は事業運営に支障がないように当初は少数になる見込み。人材プールは所長級層が40―50人、部長級層が百数十人といった規模を想定する。選んだ人材を個別に評価し不足する要件を補うように、経験を積ませ、育成する。

人事交流の活性化に向けては、10月に人事部内に設置した「キャリアコンサルティング室」が16日から社員のキャリア相談の受付を始める。対象は若手社員が中心となる見通しで、社内外のコンサルタントがキャリア形成の希望や専門スキルを聞き、異動希望先との人事をマッチングする。社内異動制度も見直して、現職場による異動拒否権や経験年数による利用の制限を廃止し、異動希望者が手を上げやすくした。

日刊工業新聞 2022年12月09日

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