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次世代革新炉「前倒し」明記、経産省・有識者会議が大筋了承した原発行動指針案の中身

次世代革新炉「前倒し」明記、経産省・有識者会議が大筋了承した原発行動指針案の中身

経済産業省

経済産業省は8日、総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会を開き、原子力発電所の活用に向けた行動指針案を大筋で了承した。次世代革新炉の開発・建設を進め、原発の運転期間60年超を可能とする。次世代革新炉の「工程前倒し検討」も盛り込んだ。エネルギー政策全般を担う基本政策分科会での議論を経て、年内にも開く政府の「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」に報告する。

行動指針案には、安全性の確保を大前提に、「新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設を進めていく」と明記。当面は廃止を決めた原子炉の建て替えを対象とする。

8日の委員会では建て替えの定義が話題となり、事務局は「プラントがあった炉心を撤去してまっさらな状態にして同じ場所に建て替えるか、廃止措置を行っているプラントから少しずれるが同一サイト内で建て替えるか。どちらかというと現実的には後者だ」と説明した。

また、次世代革新炉の研究開発体制に関連し、産業界の委員の意見が反映され、「社会ニーズを踏まえた導入工程の前倒しに向けた不断の検討」が8日示された行動指針案に追記された。

同委員は、「日本の原子力産業の競争力維持・強化に向けて世界に先駆けて革新炉を社会実装することが重要だ。検討を加速してほしい」とコメントした。

経産省は原子炉技術の工程表をまとめており、次世代軽水炉については2030年代に商用初号機の建設を目指す方針を示している。

運転期間については原則40年、1回に限り20年延長できるとする現行ルールを維持しつつ、東日本大震災以降の法制度の変更や行政命令、仮処分命令などに伴って停止した期間を除外する。原子力規制委員会が策定した新規制基準の審査対応などで10年にわたって停止している原子炉があり、この場合70年まで延長できることになる。

日刊工業新聞 2022年12月09日

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