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福島第一原発敷地内に完成、「放射性物質分析・研究施設」が担う役割

福島第一原発敷地内に完成、「放射性物質分析・研究施設」が担う役割

研究施設に配置したグローブボックス。低線量のサンプル前処理、物性測定に使う

日本原子力研究開発機構は、福島第一原子力発電所で発生した放射線や固体廃棄物の分析などを行う「放射性物質分析・研究施設第1棟」を同原発敷地内に完成した。原子力機構の福島研究開発部門である大熊分析・研究センター(福島県いわき市)が運営する。

原子力機構はこれまでに、放射性物質の分析や処理、遠隔計測技術の開発を進める廃炉環境国際共同研究センター(福島県富岡町)、楢葉遠隔技術開発センター(同楢葉町)、大熊分析・研究センターを整備してきた。

従来は放射性物質などをこれまで茨城県の研究拠点に運び分析してきたが、放射性物質分析・研究施設第1棟の完成に伴い、9月から管理区域を設定して低線量・中線量の固体廃棄物と処理水の分析作業を2022年度内に始める。

建設を計画している第2棟では燃料デブリ(溶け落ちた核燃料)などの高線量のサンプル分析を実施する予定。茨城県の研究施設の燃料デブリ分析業務を移管し、大熊分析・研究センターで世界的にも例がない燃料デブリの処理・処分の技術開発に挑むことになる。

日刊工業新聞 2022年6月30日

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