ロボハンドの触覚を指に再現できる、接触式皮膚インターフェースがスゴい
名古屋大学の朱曜南特任助教と長谷川泰久教授らは、滑りやねじれなどロボットハンドの触覚を操縦者の指に再現できる接触式皮膚インターフェースを開発した。指腹に二つの接触子を当てて動かすことで、ハンドがつかんだ対象が滑るなどの状態が分かるようになる。遠隔操縦ロボットで器用な動作を実現するための基本要素になる。
5角形の閉リンク機構で接触子を動かす。二つのモーターで幅25ミリメートル、縦18ミリメートル程度の扇型の範囲を動かせる。これを二つ用意して上下に対向させ、二つの接触子が平面状を動く機構を開発した。二つの扇型が重なる縦横12ミリ×15ミリメートル程度の楕円範囲を皮膚感覚の提示領域とした。
装着者は指腹に2本の接触子が触れ、2本の間隔が開いて皮膚を引っ張ったり、接触子が回転して皮膚をねじったりと、手の中で把持対象が動く感覚を提示する。パラレルリンク機構のグリッパーインターフェースに搭載すると親指と人さし指にせん断力などを提示できた。
ロボットシミュレーターで平行二指のロボットハンドが把持した部品がずり落ちる様子を計算して、開発したインターフェースで再現すると操縦者は皮膚の変形から状況を識別できた。今後、ハンド側を実機に適用して有効性を確かめる。
ロボットが器用な操作をするために、まず人間がハンドを操縦し実演したデータが必要になるが、触覚や力覚の提示デバイスは振動や力などに限られ、皮膚表面のずり運動は再現が難しかった。
日刊工業新聞 2022年11月18日