アクセス数1.5倍、オフィス内覧VRサービスの人気の理由
オフィスナビ(東京都千代田区、金本修幸社長)は、オンライン内覧サービスでオフィス仲介の利便性を高めている。居ながらに遠隔地の物件を内覧できる仮想現実(VR)やオンライン実況案内を駆使したサービスが好調だ。2022年9月のページアクセス数は前年同期比約1・5倍の約113万ページビュー。需要の多様化も背景に23年度は200万ページビューを目指す。
運営しているのは賃貸オフィス検索サイト「オフィスナビ」。17年に始めた「VRオフィスツアー」は、事前に撮影した画像をもとに、顧客はパソコンなどで物件内部の様子を360度、3次元(3D)で確認できる。オフィスレイアウトのシミュレーションにも対応する。
需要増の背景にはオフィス探しに特有の事情がある。金本社長は「一般に支店や営業所を遠隔地に開設する場合、物件を探すために担当者の出張が必要となる。コストや手間がかかり、オンラインのニーズが高まっていた」という。さらにコロナ禍で直接出向くことが難しくなる中、動画や担当者が内覧希望物件をオンラインで案内する「リモート内覧サービス」を20年5月から提供している。
物件まで出向く時間や距離の手間がかからず、自社が入居した際のイメージを容易に想像できる。そのため、力を入れる「居抜き」や内装付きオフィスとの親和性も高い。
同社の強みはVRや動画のデータ数と、専任の撮影スタッフがいること。物件情報を写真で詳細に伝えることにこだわり、社内でカメラマンを育成していたことが奏功した。技術の高さから、オフィスや倉庫のテナント向けに撮影代行も提供している。
コロナ禍で対面によるコミュニケーションの機会が減少。だからこそ「オフィスを単なる仕事場ではなく、交流や帰属意識を作る場として重要性を再認識する経営者が増えた」(金本社長)という。
VR物件などの撮影数を増やし、関連情報を充実させる計画だ。(岡紗由美)