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キオクシアが四日市新棟に1兆円投資、メモリー需要減少も社長が見せる自信

キオクシアが四日市新棟に1兆円投資、メモリー需要減少も社長が見せる自信

キオクシア四日市工場第7製造棟のクリーンルーム内

キオクシアホールディングス(HD)は26日、今秋稼働した四日市工場(三重県四日市市)の第7製造(Y7)棟の総投資額が第1期として最高の1兆円規模となる見通しを明らかにした。従来工場より面積当たりの生産設備台数を増やせて、エネルギー効率も高く、最先端NAND型フラッシュメモリーを高効率に生産できる。足元ではメモリーの需要減少に伴い生産調整する局面だが、中長期の需要回復を見据え、積極投資の姿勢を維持する。

キオクシアは10月からスマートフォンやパソコン、データセンター向けなどの需要減少に伴って、四日市工場や北上工場(岩手県北上市)でメモリーの生産を3割程度減らしている。26日に四日市工場で開いたY7棟の竣工式後に会見した早坂伸夫キオクシアHD社長は、「生産調整の長さと深さは分からない。ただ、メモリーはデジタル化が進む中で、なくてはならず、需要は必ず盛り返す」と中長期の回復に自信を見せた。

その上で、「半導体は研究、技術開発を止めると将来がなくなる。生産も何らかの調整は入るかもしれないが中長期で必要なものはやっていく」と述べ、中長期の能力増強や開発投資は従来の積極姿勢を継続する方針を示した。

Y7棟は今秋に入ってから生産を始めており、今後も段階的に生産設備を増やす計画。23年の早期に第6世代と呼ぶ162層の積層構造を持つ3次元NAND型フラッシュメモリーの出荷を始める。生産設備は米ウエスタンデジタルと投資を折半することに合意しており、経済産業省から最大929億円の助成を受ける。

キオクシアは北上工場でも23年の稼働を目指した第2製造(K2)棟を建設中。Y7棟、K2棟ともに第2期工事による増設が見込まれるなど、積極的な生産増強投資を続けている。

日刊工業新聞 2022年10月27日

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