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金属鋳造部品並み高強度、旭化成が開発したスゴい炭素繊維UDテープ

金属鋳造部品並み高強度、旭化成が開発したスゴい炭素繊維UDテープ

プラ部品の一部に使い効果的に強度を高める(手前)

旭化成は金属鋳造部品並みの高強度を実現できる炭素繊維複合樹脂材料「UDテープ」を開発した。一方向の炭素繊維にポリアミド樹脂を含浸した材料。テープを重ねて加工する際、同社の樹脂技術によりテープ間を強く接着でき、加工品として強度が高いことが特徴。プラスチック部品の部分補強での利用を想定する。金属代替の軽量化材料としてスポーツ用品や建材、自動車部品、航空機部品へ提案し、3―4年内の事業化を目指す。

UDテープは繊維方向を縦・横・斜めなど多方向に重ねて成形することで、織物を使う樹脂複合材より高強度な部品を実現できる材料。旭化成の製品はテープ間を強く接着できるため、加工部品としての強度を示す層間せん断強度の高さが強み。同社のポリアミド樹脂材の多様なグレードを生かして開発した。炭素繊維含有率55%の開発材の同社測定値は85メガパスカルという。

プラとの複合化しやすさも特徴。UDテープを部分補強に使い、コスト上昇を抑えながら効果的に部品強度を高める使い方を提案する。自社で試作を行い、UDテープ成形品を金型内に配置してプラを射出成形した一体成形品や、UDテープを部分加熱しながら中空パイプに巻き付けた部材を作成した。大量の短いテープだけを重ねてプレス成形したディファレンシャルギアも試作。顧客への設計支援に生かす。

同社は熱可塑性樹脂と繊維のコンポジット材料の品ぞろえを拡充し、プラによる金属部品代替の提案の幅を広げる。UDテープのほかにガラス繊維織物との複合材料を開発しており、同製品は22年度中に開発量産設備を稼働する予定。一連のコンポジット材は19日に開幕する先端材料技術展(SAMPEジャパン)に出展する。

日刊工業新聞2022年10月16日

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