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最高時速500km、JR東海が披露した「リニア」改良型試験車の走行性

JR東海のリニア中央新幹線の試乗車「L0(エルゼロ)系」の改良型試験車の報道向け試乗会が、山梨リニア実験センター(山梨県都留市)で開かれた。リニア開業後、実験線はルートの一部として利用される。

実験線は山梨県笛吹市を起点に同上野原市を終点とする総延長42・8キロメートル。実験センターはその中間にある。出発後、40秒ほどで時速150キロメートルを超えると、車輪走行から浮上走行に切り替わり、振動が減った。

3分足らずで最高時速の500キロメートルに到達すると、飛行機に搭乗した時のように「ゴー」という低い騒音と細かい振動が続く。JR東海によると、高速域ほど走行安定性が増す上、側壁があるため脱線は起きないという。減速し、再度タイヤ走行に切り替わる際、飛行機の着陸時のように接地して少し跳ねるような感じがある。

改良型試験車は2020年に走行を始めた。先頭形状の凹凸を際立たせたり、先端部に丸みを持たせるなど最適化することで先頭部の空気抵抗を13%程度下げられ、消費電力や車外騒音を抑えることができる。1日の平均走行試験距離は約2000キロメートルで、「営業に供することのできる技術レベルの車両」(木村中常務執行役員)だという。

開業すれば品川―名古屋間(286キロメートル)を40分で結ぶリニア中央新幹線だが、未着工の静岡工区(8・9キロメートル)の問題もあり、時期が見通せない状況になっている。

一方で、JR東海はコロナ禍で中断していた一般向けの試乗会も再開。10月下旬には22年3回目の試乗会を開き、リニア開業に対する市民への理解も深めていく。

中央新幹線推進本部の重田洋副本部長は「工事の安全や環境の保全、地域との連携を大切にしながらできるだけ早く、東京―名古屋間の完成を目指していく」としている。

日刊工業新聞2022年10月12日

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