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精神疾患、一般の認知度低く「日本のリテラシーの低さ浮き彫りに」

精神疾患に関する一般の認知度は患者よりもかなり低い――。デンマークの製薬会社ルンドベックの日本法人ルンドベック・ジャパン(東京都港区)が日本で行ったメンタルヘルスの意識調査でこんな実態が明らかになった。とりわけ一般の約半数が、最も身近な精神疾患である「うつ病」の症状をよく理解していなかった。10月10日は世界精神保健連盟と世界保健機関(WHO)が定める“世界メンタルヘルスデー”。長引くコロナ禍で患者は急増しており、誰もがメンタルヘルスに対するリテラシーを高める必要がある。

同社は15歳から60代までの不安症やうつ病、躁病(そうびょう)、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症のいずれかの疾患で半年以上の通院経験がある患者(74%がうつ病罹患〈りかん〉者)と通院経験のない一般の各500人を対象に、国際的なメンタルヘルスリテラシー尺度(MHLS)を用いてインターネットで調査した。その結果、各設問で患者の方が総じて高いリテラシーを示したが、患者でも公的な相談窓口の存在を知る人は半数程度にとどまった。

一般の人でうつ病という病名は知っていても、症状までは理解していないという割合は54・8%に達した(「知っている」と答えた人以外の割合)。精神疾患に対する理解は進みつつあるが、患者のなかでも20%以上が「精神疾患は個人の弱さの表れである」「医学的な病気ではない」という質問に、「どちらとも言えない」と回答。精神疾患を患った際、4人に一人は「誰にも言わない」と答えるなど、周囲に話すことに大きなハードルがあることも分かった。また、受診をためらう傾向もみられた。

調査を監修した日本うつ病センターの副理事長で六番町メンタルクリニック院長の張賢徳氏は「日本のリテラシーの低さが改めて浮き彫りになった。多くの人が関心を持ち、知識を高めることで偏見や差別のない社会をつくり、早期受診につなげることが必要」と話す。さらに「大事なのは不調に早く気づくこと。誰もがなり得る可能性があり、『何かおかしい』という感覚がターニングポイントになる」と強調した。

厚生労働省の最新の調査結果によると、精神疾患を持つ日本の患者総数は約419万人(2017年時点)で増加傾向が顕著だ。特に新型コロナウイルス感染症の流行後は、いわゆる「コロナうつ」による若い女性の自殺者が増えている。

日刊工業新聞2022年10月10日記事に加筆

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