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コロナ・オミクロン株の感染力低下、日産が開発した「空気酸化触媒」の実力

日産自動車は、東北大学薬学研究科などと、ウイルスを不活性化する空気酸化触媒技術を共同開発した。新型コロナウイルスの感染防止効果だけでなく、他のウイルスや病原体への感染防止効果も期待できる。車載用では空調のフィルターや内装の抗菌処理での活用を想定。金属やアルコールなどを用いた従来技術と比べ、感染防止効果やコスト面で高い競争力が見込まれ、早期の実用化を目指す。

日産は車用塗料の添加剤として使用する有機ニトロキシルラジカル酸化触媒が、空気中の酸素を酸化剤に、有機化合物を酸化する特徴に着目。東北大学と同触媒がウイルス表面のたんぱく質などを酸化して変性し、人の細胞に感染できないようにするウイルス不活性化技術を開発した。同技術は通常の酸化で必要な光照射が不要で、常温で暗い所でも効果を発揮できる。

同技術の効果検証では新型コロナのオミクロン株で感染力の低下を確認。日産総合研究所の伊藤仁主査は「変異株にも有効と見ている」とした。実用化の時期は未定。同触媒を車のエアコンのフィルターに塗布して使用するほか、マスクや医療用繊維製品への応用など車以外での活用も見込む。

日刊工業新聞 2022年9月22日

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