量子計算を高速化、東芝が考案した可変接合機の新構造とは?
東芝は、超伝導方式のゲート型量子コンピューターの高速化と精度向上につながる可変結合器の新構造「ダブルトランズモンカプラ」を考案した。数値シミュレーションの結果、量子計算の基本操作である「2量子ビットゲート」を24ナノ秒(ナノは10億分の1)の処理時間で、99・99%の精度を実現できることを示した。2022年度中に外部研究機関などと協力し、新構造の可変結合器を試作して実証実験を始める。
可変結合器は量子計算を行う二つの量子ビットの間の結合をオン/オフして演算の実行と停止をスイッチングするデバイス。考案した新構造は周波数が大きく異なる量子ビット間の結合を完全にオンにして強い結合による高速な量子計算ができると同時に、完全にオフにして残留結合によるエラーを低減でき、精度を向上できる。
安定性が高く設計しやすい「周波数固定トランズモン量子ビット」同士の間で、周波数が大きく異なる場合の結合を完全にオン/オフし、高速・高精度な2量子ビットゲートを実現する特性を確認したのは世界で初めてだとしている。
日刊工業新聞2022年9月16日