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「ドローン」1機漏らさず迎撃、防衛省が技術研究急ぐ

防衛省は多数の飛行ロボット(ドローン)によるスウォーム攻撃への迎撃効率向上に関する研究を2023年度に始める。高出力レーザーやマイクロ波など、それぞれの技術の特性に応じて役割を最適配分し、ドローンを1機漏らさず撃ち落とせる射撃管制システムの開発を目指す。尖閣諸島周辺や航空自衛隊主要基地などでは中国軍によるスウォーム攻撃が想定されるため、対応を急ぐ。

23年度予算の概算要求で、金額を明示しない事項要求として盛り込んだ。スウォーム攻撃はドローンを数十機から数百機単位で飛行制御し、目標に向かわせる技術。数百機のうち9割以上を撃ち落とせても残る数機がレーザーサイトを破壊したり、滑走路に墜落しただけでも短時間は使用不能になる。民間インフラに攻撃を行う事態も想定される。中国軍は18年に、200機を超えるドローンの同時飛行を実現した。

ドローン防御用レーザーで100キロワットの高出力型は川崎重工業、10キロワットの車載タイプは三菱重工業が開発を進めている。マイクロ波はNECが関連研究を手がけていた。マイクロ波は広範囲のドローンを補足できる代わり、敵方が周波数を変更するなど、対抗手段を取ることが予想される。

高出力レーザーはこの心配はないが装置が大型になるため展開や機動能力に難がある。撃ち漏らしたドローンが施設に被害を与える事態も想定される。これらの特性を踏まえ、来襲時にどの配分や組み合わせで迎撃する方法が効率が高いか、管制方法を研究する。

日刊工業新聞2022年9月16日

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