福井大など4年がかりで作り込み、着脱容易な弾性ストッキングの仕組み
起立性低血圧に悩む患者向け
福井大学の濱野忠則医学部准教授は、繊維会社のイーゲート(福井市)、アサヒマカム(福井県坂井市)と共同で、パーキンソン病など起立性低血圧で悩む患者用の弾性ストッキングを開発した。ファスナー式として着脱の労力を軽くし、経編の丈夫な生地を用いて伝線せずに長く使える。消費税抜きで小売価格5400円。福井大学病院(福井県永平寺町)の売店、通販サイトで販売を始めた。
部位に応じて3段階の強さで弾性を生地に作り込み、つま先は開放、膝下で着用する。かかと部分を始点にしたファスナー、金属が肌には直接当たらないようにした設計が特徴。パーキンソン病で細ったふくらはぎの状態により4サイズの品ぞろえ。患者グループの評価を聞きながら、4年がかりで作り込んだ。2年にわたる着用にも耐えているという。
パーキンソン病は仰臥の状態から身体を起こした時に血圧が下がって立ちくらみし、転びやすい。血圧調整の薬が用られてきた一方で、近年は弾性ストッキングで下肢に回る血流を絞る方法が推奨される。ただ従来の商品はパーキンソン病患者にとり、着脱の労力が大きい。
3者は濱野准教授が医療ニーズの発表会に登壇したのを機に、患者の生活の質の改善、社会貢献の理念で連携した。今後、イーゲートは医療用以外でのニーズも探る。
日刊工業新聞2022年9月8日