アルツハイマーやパーキンソン病を治療へ!京大が新規化合物を発見
京都大学大学院医学研究科の小林亜希子助教と萩原正敏教授らは、アルツハイマー病やパーキンソン病など進行性神経変性疾患の治療が期待できる新規化合物「アルジャーノン2」を発見した。炎症に関わるたんぱく質の発現を抑制してドパミン神経細胞の脱落を防ぐ。マウスによる実験では、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した神経細胞の元を移植前に投与すると定着率が向上した。
アルジャーノン2は免疫反応を増強する細胞に働きかける。細胞分裂の周期を調節するたんぱく質の分解を抑え、遺伝情報の転写を制御するたんぱく質「Nrf2」を安定化する。Nrf2が炎症に関わるたんぱく質の産生を抑制し、神経保護に関わる遺伝子の発現を促すため効果が得られる。
研究グループは、以前、発生期の神経幹細胞に働きかけ神経新生を促進する化合物を見つけたが、アルジャーノン2はそれに加え成体で神経炎症を抑制する。
パーキンソン病モデルマウスにアルジャーノン2を投与すると、ドパミン神経細胞の脱落が減少し、炎症の抑制と運動機能の回復もみられた。移植時に起こる免疫反応による炎症の緩和も期待できる。
日刊工業新聞2020年11月19日