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ダイセルが米国に投入、動物実験用針なし投与デバイスの仕組み

ダイセルが米国に投入、動物実験用針なし投与デバイスの仕組み

自動車用エアバッグで培った火薬の技術を応用し、開発したアクトランザラボ

ダイセルは針を使わずに薬液を組織内に送達できる動物実験用投与デバイス「アクトランザラボ」を2023年度中にも米国に投入する。同社が世界で展開するキラルカラム事業のインフラを活用し拡販する。大学や製薬会社の遺伝子治療分野などの研究用デバイスとして6月中旬から日本で販売しており、医薬・医療機器で最大市場の米国への投入で事業拡大につなげる。将来的には欧州での展開も視野に入れる。

アクトランザラボは高速ジェット流で薬液を特定の組織内に送達する投与デバイス。22年度は国内20件の研究機関へ販売を目指しており、海外展開に向けたノウハウを蓄積する。

薬の副作用の原因となる成分と、薬として有効な成分とを分離するために使われるキラルカラムの米国やフランス、中国などにある事業拠点や、大学や研究機関、製薬会社とのネットワークを活用して米国をはじめ海外で拡販する方針だ。基礎研究段階から入り込み、研究成果を用いた新薬が市場投入された際に、新薬の投与デバイスとしてアクトランザラボの販売を拡大することも視野に入れている。

アクトランザラボは細胞の核内まで薬液を届けられるといい、動物実験では筋肉内投与に比べ薬液量を削減できることを確認している。デオキシリボ核酸(DNA)やリボ核酸(RNA)を基本骨格とする核酸医薬やワクチン、遺伝子治療などとの相性が良いという。坂野誠治執行役員は「DNAのデリバリーは難しいが、そのブレイクスルーとして(アクトランザラボに)期待や興味を持ってもらっている」としている。

日刊工業新聞 2022年9月8日

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