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「おがくず」から化学品や素材を作る!ダイセルと京大が開発した技術の仕組み

「おがくず」から化学品や素材を作る!ダイセルと京大が開発した技術の仕組み

京都大学と開発した「ウッドペーパー」の折り鶴(左)と成形品

ダイセルと京都大学は室温から50度Cの条件下で有機酸に、おがくずを溶かして酢酸セルロースなど化学品や素材を作る技術を開発した。製造工程で多くのエネルギーや強アルカリ物質を使う紙原料のパルプを使う必要がない。今後、同社は植物からパルプを経由せずにセルロースを取り出し、たばこフィルターや液晶フィルムの原料となる酢酸セルロースの生産工程における環境負荷低減につなげる。バイオマスフィルムや成形品は開発済みで、糸など新しい素材の開発も目指すという。

木材は天然高分子化合物のセルロースとヘミセルロース、リグニンの主要3成分が強固に結合している。紙や酢酸セルロースの原料であり、セルロースの集合体であるパルプを作るには、約160度Cの高温下で強アルカリ物質や硫化ナトリウムを用い、接着剤の役割を果たすリグニンを分解する必要がある。

これに対し、ダイセルと京大は、おがくずを有機酸に溶かす方法を発見した。有機酸溶液にはセルロースなどの天然高分子化合物が大半の化学特性を残したまま溶けている。その後の加工がしやすく、植物をさまざまな素材の出発原料として使いやすくなるという。

開発したバイオマスフィルム「ウッドペーパー」はこの有機酸溶液から有機酸を除去して作る。木の種類や部位、生育地が異なる15種類の原料から作製済み。原料がユーカリの場合は透明性がありプラスチックに近い素材、杉が原料の場合は不透明な紙に近い素材が作れる。立体的な成形品の開発にも成功した。現在は紡糸技術を研究中で、特定の成分を分離して活用することも目指す。

ダイセルは木の成分を余すところなく使用した素材や製造手法の開発を進めており、京大との共同研究もその取り組みの一つ。両者は20年に共同研究を本格化させた。

日刊工業新聞2021年9月6日

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