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22年度の建機出荷額、上方修正で2.6兆円を見込む背景

日本建設機械工業会(建機工)は、2022年度の建設機械出荷金額予測を2月予想比562億円増の2兆6194億円(前年度比3%増)に上方修正した。国内は同185億円減の8647億円(同微減)に下方修正した一方、輸出を同747億円増の1兆7547億円(同5%増)に引き上げた。北米をはじめ中国を除くほぼ全世界で需要が伸び、為替の円安進行も貢献。23年度も前年度比4%増の2兆7165億円と過去最高となる予想だ。

25日会見した建機工の本田博人会長(キャタピラージャパン代表執行役員)は「北米を中心に伸びが続く」との見通しを示した。

2月の予測では、22年度の国内について8832億円(前年度比2%増)とプラスを予想していた。最新の見通しで微減に転じたのは部品・部材不足による納入遅れが理由だ。エンジン周りの半導体や電子部品、電装品の供給不足が響いた。

海外でも状況は同じだが「需要の伸びがそれ(部品・部材不足のマイナス影響)を上回った」(本田会長)イメージ。伸びをけん引するのは北米だ。

22年4―6月の仕向先別出荷金額の構成比で北米は28・4%となり、日本国内の31・6%を除くと1位。22年度の北米は2割以上の増加を見込み、23年度も増加とみる会員企業が多い。金利上昇や住宅着工の陰りなどの不安要因もあるが「伸び率が鈍化するとの予想はあるものの、減少するとみる向きはほぼ皆無」(同)。欧州とアジア(中国を除く、オセアニアを含む)も増加あるいは横ばいで堅調が続くとの見方が多い。

中国市場については22年度は減少、23年度も減少が続くとの見方が過半を占める。ただ、中国の構成比は22年4―6月で0・6%と1%以下に低下しており、出荷金額への影響は少ない。

一方、中国からアジア方面への低価格機輸出が脅威となる可能性について、本田会長は「品質や製品寿命、メンテナンスで差別化できる」との見通しを示した。為替の円安進行による押し上げ効果についても「ゼロとは言わないが、需要もそれ以上に好調な感じ。23年度については大半の会員企業が22年度より円高を予想している」と話した。


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日刊工業新聞2022年8月26日

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