日本ガイシのDX人材育成計画、「DXリーダー」を全部門に配置
日本ガイシは2030年までにデジタル変革(DX)を担う人材を1000人育成する。従業員の5人に1人の割合で育てた人材を各部署に配置して、定性的な技術や知見に頼るアナログ的なモノづくりからの進化を図る。
「30年にはデータとデジタル技術の活用が当たり前の企業となる」。同社はこう宣言した。工場の稼働状況など生産性に関わる部分は見える化して分析できているが、不良品の原因追及など品質管理や管理部門では活用が進んでいないのが現状という。「25―27年には全ての事業部にDX推進するグループをつくる」(DX推進統括部の斉藤隆雄部長)ことで活用を促す。
推進役の「DXリーダー」は各事業部が推薦した30―40歳の主任級の中核人材を1年間、DXについて“社内留学”させて育てる。所属部署が抱える実際の課題をデータ活用とデジタル技術で解決することをテーマに、実践を通じて学ぶ仕組み。30年までに110人育成し、全ての部門に1人ずつ配置する想定だ。
初開催の21年度では3人を育成し、自動車用排ガス浄化用部品の慢性的な不良品発生の原因などを解明した。現在は所属部署に戻り、改善に向けて活躍する。22年度は各事業部から計13人が留学している。
データ分析でリーダーを補佐する存在として、座学を通じてスキルを身に付けた「DXサポーター」も育成。主任以下の25―35歳を中心に30年までに600人確保する計画。新入社員や若手にも階層別教育として基礎知識の定着を進める。
全ての事業部や現場でデジタル技術の活用を自走化した上で目指すのは「(モノ売りから)コト売りへの転換」(同)だ。第三の創業期と位置付け、自己変革に挑む。
日刊工業新聞 2022年7月12日