神奈川・川崎市の町工場が10年間精力的に工場見学を受け入れる理由
東洋内燃機工業社(川崎市宮前区、檜垣隆三社長)が、社会貢献活動に精力的だ。近隣にある小学校の生徒らを、10年ほど前から工場見学として受け入れてきた。最近はコロナ禍のため中断していたが、再開に向けて学校側と調整中だ。
同社は道路の中央線などを引くラインマーカー車の製造やディーゼルエンジン、鉄道保線機械などの整備事業を手がける。近くの川崎市立長尾小学校からの要望で10年ほど前に、生徒らのための工場見学会を始めた。高学年の生徒には実習として、キーホルダーなどの製作にも挑戦してもらう。「川崎市が誇るモノづくりの楽しさを知ってもらう」(檜垣社長)狙いからだ。
実習に参加した生徒には「隣の人が作ったキーホルダーに値段を付けるなら、いくらがいいか」と決まってたずねる。「モノの経済的価値について考えるきっかけに」(同)といった意図がある。
こうした活動が支持され、同校が創立40周年を記念して2021年にまとめた副読本に、同社の紹介記事が掲載された。最近はコロナ禍で中断を余儀なくされたが、再開に向けてまずは「教員のための工場見学会を催したい」(同)と、地域住民らとの交流を心待ちにする。(川崎)
日刊工業新聞2022年8月22日