ROE減少のみずほリース、みずほFG・丸紅と連携でV字回復なるか
みずほリースの利益創出力を示す株主資本利益率(ROE)は2021年度に7・1%と前年度比4・2ポイント減だった。半導体不足や航空機業界の不振、ウクライナ問題を踏まえ、貸し出した資金が返ってこない場合に備える信用コストが増えたためだ。ただ、みずほフィナンシャルグループ(FG)や丸紅との連携で顧客基盤を拡充。収益力が高まったことから信用格付けが格上げされるなど22年度のV字回復を見込む。
「将来のダウンサイドリスク(保有資産が損失を受ける可能性)に備えるべく、能動的に対処した」―。津原周作社長は、21年度の信用コストが105億円と前年度の4億円から大幅に増えた理由をこう説明する。
コロナ禍を背景とした半導体不足は顧客企業の業績に影響し、大口の信用コストを発生させた。25%を出資する米航空機リース大手エアキャッスルがロシア、ウクライナ向けにリースする航空機13機を減損処理したことなどで持分法投資損失189億円を計上したことも響いた。22年度の信用コストも30億円程度となる見込みだ。
ただ、津原社長は「業績が底打ちして反転することを期待している」と話す。その要因が、事業規模を示す営業資産残高が同4・1%増の2兆4166億円になったことだ。
特に不動産・環境エネルギー事業の営業資産残高が同34・9%増の5900億円と大きく伸びた。みずほリースの23・03%の株式を持つみずほFGの幅広い顧客基盤を活用した成果が出ている。丸紅との連携による残高も同17・4%増の1524億円に増えた。
この成果を評価し、格付投資情報センターはみずほリースの格付けをAからA+に格上げ。日本格付研究所は格付けの見通しを安定的からポジティブに引き上げた。22年度の年間配当は130円と前年度比20円の増配を予定。配当性向は24・2%と23年度目標の25%以上に近づけ、「株主還元目標達成への当社の意志をしっかりと示す」(同)意向だ。
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