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EVの「電欠」救うロードサービス、あいおいニッセイが提供へ

EVの「電欠」救うロードサービス、あいおいニッセイが提供へ

ポータブル急速充電器で電欠して走れなくなったEVを現場で充電する

あいおいニッセイ同和損害保険は2023年度にも、走行中に電池切れとなる「電欠」を起こした電気自動車(EV)を現場で充電するサービスの提供に乗り出す。ポータブルEV急速充電器を搭載した車両が電欠で停車しているEVのもとに駆け付けて充電し、走行を再開できるようにする。現場で充電器を使って充電するサービスは国内初という。サービス提供を通じて国内のEVの普及につなげる。まずは地域などを限定して始めたい考え。

開発するEV向け現場充電サービスは、自動車保険のロードサービスとして提供する。オプションの有償サービスにすることも検討する。同社にはガソリン車のガス欠の応急依頼が年6000件程度ある。航続距離が短いEVの方が、ガソリン車よりも応急対応のニーズが高いとみる。

通常、EVが電欠となった場合、最寄りの充電スポットまでレッカー搬送するが、レッカー車への積み下ろし作業や充電スポットまでの移動に時間と人手を要していた。

7月にはサービスの実効性などを実証実験で確認。ベルエナジー(茨城県つくば市)が国内販売する米スパークチャージ製のポータブルEV急速充電器「Roadie(ローディー)」で、電欠となったEVを路上で20分程度充電し、約40キロメートル走れるようにした。

実験ではMS&ADグランアシスタンス(東京都文京区)が電欠を起こしたEVの運転手から電話を受け、ロードサービスを手がけるトータスカーアシスタンス(同品川区)が充電器を搭載した車両で現地に向かって充電作業に当たった。

政府は35年に国内で販売する新車を全てEVを含む電動車にする目標を掲げる。EVの普及に向けて充電設備の拡充が求められるが、充電器の設置台数は伸び悩んでいる。ゼンリンの調査によるとEV充電器の設置台数は22年3月末時点で2万9463基。17年から約3万基で頭打ちの状態が続いている

日刊工業新聞2022年8月3日

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