次世代パワー半導体材料「酸化ガリウム」4インチウエハー量産へ
ノベルクリスタルテクノロジーが年2万枚体制
ノベルクリスタルテクノロジー(埼玉県狭山市、倉又朗人社長)は、2025年をめどに100ミリメートル(4インチ)酸化ガリウム(Ga2O3)エピウエハーを年2万枚量産できる体制を整える。本社工場に設備を追加する。投資額は約20億円。酸化ガリウムは次世代パワー半導体の課題とされる材料コスト改善につながる素材として期待される。6インチウエハーの量産化を見据えた技術開発も進める。
酸化ガリウム単結晶基板の製造・加工用設備、検査設備のほか、ウエハー上に酸化ガリウムをエピタキシャル成長させる成膜装置を追加導入する。22年度中に複数枚のウエハーを同時に成膜できる新たな装置を開発予定で、これらを本社工場に順次導入する。
酸化ガリウム半導体は、シリコン製の従来の半導体に比べてデバイスの消費電力の低減や高耐圧化を実現できる。融液法でバルク単結晶を育成し、効率的に結晶基板を製造できることが特徴。実用化が進む炭化ケイ素(SiC)などの次世代材料に比べて結晶の成長速度が100倍ほどで基板の製造が容易なため、大幅な低コスト化につながるという。
ノベルクリスタルテクノロジーはタムラ製作所の子会社。酸化ガリウムの4インチウエハー量産化に世界で初めて成功した。21年に最大1200ボルトの電圧に耐えられるショットキーバリアダイオード(SBD)を開発するなど、パワーデバイスの研究開発も手がける。23年に高電圧対応のダイオード、25年にトランジスタの製品化を計画している。
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日刊工業新聞2022年7月19日