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増勢傾向の企業倒産、特に顕著な業種は?

帝国データバンク(TDB)と東京商工リサーチ(TSR)がまとめた上期(1―6月)の企業倒産件数は、いずれも3000件台と低水準だったものの、倒産が増勢傾向を見せている。TDBは前年同期比1・2%減の3045件でほぼ横ばいだったが、減少幅が前年同期から大きく縮小しており増加局面の様相。TSRは同0・5%増の3060件だった。新型コロナウイルスの資金繰り支援効果が剥落してきた。

負債総額はTDBが同2・8倍の1兆7630億円、TSRが同2・8倍の1兆7088億円だった。1兆円超の負債を抱えるマレリホールディングスが6月に簡易再生手続きを申請したのが全体の負債額を押し上げた。

業種別では人手不足が深刻な業種で倒産件数の増加が顕著だった。建設業はTDBが同10・0%増の583件、TSRが同9・2%増の576件だった。TSRによると建設業では14年ぶりに前年同期を上回った。

今後、企業倒産は下期(7―12月)にかけて増加する見込みだ。新型コロナの資金繰り支援が過剰債務を招き、借り入れ返済に苦慮する中小企業が増えている。原材料費の高騰も追い打ちをかけるが「企業の価格転嫁が進んでいない」(TSR)。コロナ融資後の倒産も急増しており、「7―9月の動向が肝になる」(TDB)という。

日刊工業新聞2022年7月11日

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